過去を紡ぎ未来を見据えた温もり溢れる日本家屋『佐倉の住宅』

徳田直之が主宰する建築事務所「tokudaction」が改修を手がけた『佐倉の住宅』は、長嶋茂雄を輩出した千葉県佐倉市に建つ木造・地上二階建てである。歴史を感じる立派な瓦屋根や威厳のある玄関口などをそのままに、室内は木材の温もりと明るさを最大限に活かした和な空間に。天井の低い玄関、天井の高いリビング、横に大きく広がる縁側の窓など、1,800mm~5,000mmまで様々なスケールの天井で、住宅でありながら住宅の枠を飛び越えた場所をつくりあげた。しかし、不思議なのは寝室やリビングなど全てのスペースの仕様や特徴が異なっていながら、それでいてどの部屋にも繋がっているような不思議な感覚を覚えること。それは、厳選した素材とテキスタイルや照明がそれぞれの場所を繋げつつ、それぞれに独立したスケール感をもたせているためだ。また、同建築事務所によると、住人のそれまでの記憶を残すように障子を残し、最低限の補修に留めた部分を点在させることで、日々の生活の中で本人も忘れていた記憶の足跡を発見する喜びが生まれてくるという。

記憶と素材を等価とすることで生まれる、改修でないとできない空間。『佐倉の住宅』には、建築的概念では語れない“住宅以上の何か”が宿っている。

この機会に、築80年を超える典型的な日本家屋を改修した鎌倉のオフィス兼住宅など、『HHHYPE』がお届けするその他のデザイン情報もあわせてご確認を。