映画『ジョーカー』を観る前に知るべきこと

世界に笑顔を届けるコメディアンを夢見ていた心優しい男 Arthur Fleck(アーサー・フレック)が、狂気溢れる“悪のカリスマ”へと変貌を遂げる姿を描いた映画『Joker(ジョーカー)』が、いよいよ本日10月4日(金)に公開となった。

『Road Trip(ロード・トリップ)』『The Hangover(ハングオーバー)』シリーズをはじめとする数々のコメディ映画を手掛けてきたTodd Phillips(トッド・フィリップス)監督、Joaquin Phoenix(ホアキン・フェニックス)主演による今作では、これまで世に生み出されてきたジョーカー像にとらわれず、原作コミックから一線を画し、独自の物語を描いているという。本稿では、そんな新たなジョーカーを心待ちにしている方々に向けて、本作をより楽しむために知っておくべき情報をご紹介する。勿論ネタバレはないのでご安心を。

制作のビハインドストーリー

今作は、1980年代初頭のゴッサムシティを舞台とし、社会から軽視されてきた貧しい独りの男が、いかにして犯罪の首謀者となっていくかというあらすじ。エンタメ関連の情報をお届けするメディア『Deadline』によると、本作のインスピレーション源となったのは、制作プロデューサーを務めた巨匠 Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)監督による名作『Taxi Driver(タクシードライバー)』『The King of Comedy(キング オブ コメディー)』だという。かつてこれらの作品で主人公を演じた名優 Robert De Niro(ロバート・デ・ニーロ)は、本作でアーサーの心の支えとなるお笑い番組の人気ホストとして登場している。不正と腐敗に溢れ、弱者に過酷な社会の中で、コメディアンを夢見ながら孤独に苛まれるアーサーの姿は、そんな過去の名作にて描かれたそれぞれの主人公の姿に重なる。ちなみに当初、Scorsese監督が制作に携わっているため、長年の友人であるLeonardo DiCaprio(レオナルド・ディカプリオ)が新しいジョーカーを演じるという噂が浮上していた。しかしTodd監督は、脚本は最初からJoaquinのために書かれたものであって、アーサー役について他の俳優はまったくリスト上に入れてないとしている。

アメリカンコミックス映画史上初の栄誉

去る2019年8月31日(現地時間)、DCコミックの誇る最狂ヴィラン(悪役)であるジョーカーの誕生を新解釈で描いた本作は、日米同日公開に先駆けて第76回ベネチア国際映画祭にてプレミア上映された。上映後、会場からは8分間のスタンディングオベーション。審査員はもちろんのこと世界の映画関係者から高い評価を得て、本映画祭の最高作品賞である“金獅子賞”に輝いた。伝統と格式のある世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭)で、アメコミを原作とした作品が最高賞を受賞するのは、今回が史上初の快挙であり、アメコミの枠を超えた傑作として、映画史を大きく塗り替えるといっても過言ではないだろう。

新生ジョーカーの誕生

緑色の髪に、不気味な白塗りの顔、裂けて常に笑みをたたえた赤い口元。そんな恐ろしい風貌がシグネチャーである“悪のカリスマ”ジョーカーは、コミック映画史上でも他を寄せ付けない狂気に満ちた魅力的なヴィランとしてカルト的な人気を誇る。バットマンの永遠の宿敵として数多くの作品に登場し、多くの映画ファンを魅了してきたジョーカーは、これまでに1989年公開『バットマン』のJack Nicholson(ジャック・ニコルソン)をはじめ、2008年制作『The Dark Knight(ダークナイト)』の故 Heath Ledger(ヒース・レジャー)、そして2016年に公開された『The Suicide Squad(スーサイド・スクワッド)』のJared Leto(ジャレッド・レト)といった名だたる名優たちによって演じられてきた。またキャラクター自体の個性もさることながら、各作品の俳優の比較ができることも楽しみの1つであった。そして今回、ハリウッドきっての演技派として知られるJoaquin Phoenixの演じるジョーカーはどのような仕上がりであるのが、キャスティング時からコミックファンのみならず、多方面からも大きな関心を集めていた。

先述の第76回ベネチア映画祭での記者会見でのTodd監督のコメントによると、本作は原作であるDCコミックスの要素や世界観とは一切結びついていない完全に独立した作品であり、ジョーカーを演じるJoaquinと共にユニークでオリジナルな解釈によって新たなジョーカー像を作り上げたという。また、Joaquinは同日の公式会見にて「アーサーが単に苦痛を抱えた人物だと思わないんだ。彼の人生には、苦難と悲劇の連続であるが、そんな中でも喜びと幸せを感じ、人との繋がりや愛を求めている暖かい人物である。そんな彼の明るい部分に魅力を感じ、アーサーという人物像に彼に深く探ってみたいと決心した」と述べている。またJohaquinは、今回役作りのために約3ヶ月で約23.5キロもの過酷な減量に取り組み撮影に臨んだ模様。魂を削るような鬼気迫る、Joaquinによる熱演によって作り上げた新ジョーカーはどのように描かれるのか、要注目だ。

DCコミックの誇る最狂ヴィランであるジョーカーの誕生を新たな視点で描く映画『ジョーカー』は本日10月4日(金)全国ロードショー。合わせて『HHHYPE』がお届けする最新エンターテイメント情報の数々もお見逃しなく。