Interviews:山下智久が語る Onitsuka Tiger とのコラボレーションから藤原ヒロシへのリスペクトまで

先日〈Onitsuka Tiger(オニツカタイガー)〉が、創業70周年を記念するクリエイター7名とのスペシャルプロジェクトの最終章として、山下智久とのコラボレーションを発表した。山下智久といえば、フランス発のダウンウェアブランド〈Moncler(モンクレール)〉のショートフィルム出演が記憶に新しい。“心のジャーニー”をテーマとした同映像は〈fragment design(フラグメント デザイン)〉を主宰する藤原ヒロシを招聘した“Moncler Genius(モンクレール ジーニアス)”によるライン〈7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara(7 モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ)〉の最新コレクションのローンチにあわせたものであり、藤原氏自らのカメオ出演も話題を呼んだ。意表を突く山下氏の起用は、多くの人にとって驚きをもって迎えられたが、やや閉塞気味のファッション界に風穴を開け、新たなファッションアイコンの誕生を予感させるものでもあった。そして、そこを出発点するような形で、ファッション分野へと足を踏み入れた山下氏。今回の〈Onitsuka Tiger〉との共同プロジェクトでは、皆が知る山下智久ではなく、いちクリエイター Tomohisa Yamashitaとしてフットウェアの制作に心血を注いだ。『HHHYPE』では、今コラボの発表記者会見直後の山下氏を直撃。前述のショートフィルム出演の経緯から、藤原氏の印象、コラボレーションのプロセス、自身のファッション観まで、これまであまり語られることのなかった山下智久の一面が垣間見える貴重な内容となった。

Moncler Geniusのショートフィルムに出演されることになったきっかけ/経緯を教えていただけますか。

元々Monclerさんのファンで、ずっと愛用していた中で、藤原さんにも以前にお会いしたことがあったのですが、それからプレスの人と知り合ったり、本当にご縁というか、偶然が重なって。「今度、ヒロシさんがこういうのやれるのですが、どうですか?」みたいにお声がけいただいて。去年の2月にショーを観に行かせていただいた時に、本国のアドバタイズを仕切られている方にお会いして、Monclerの公式Instagramに載っちゃたりして(笑)。それで覚えててくださったみたいで、こういうお話を頂いた形です。

突然始まったわけではなく、それまでに色々な事柄が積み重なってのことだったのですね。

そうですね、何年かの積み重ねがようやく花開いたという形ですね。本当に皆さんとの繋がりと支えがあって実現しました。新しい仕事のジャンルでしたし、新鮮で楽しかったです。

実際に、藤原ヒロシさんの手がけたコレクションに山下さんが登場して、HHHYPEの読者も「おー」となったと思います。藤原さんと一緒に仕事をされてみていかがでしたか。

藤原さんも撮影現場にずっといらっしゃってくださったのですが、何にも捕われていない、今の時代の生き方を体現されているような印象を受けました。「藤原ヒロシさんって仕事何なの?」って聞かれた時に「なんだろう?」ってなるのがすごい素敵だと思います。藤原さんといえば僕が中学生ぐらいの時から東京のファッションを作り上げてこられた方なので、そんな方とまさか一緒に仕事ができるとは思ってなかったですし、すごい光栄なことだと思いました。ああいう生き方を自分でもできたらいいなという憧れを持って見ております。

Moncler Geniusのショートフィルム主演と、Instagramでアカウントを持つことに何か繋がりを感じますか?

そうですね、Instagramを始めたことによって、メッセージを直接届けることもできるし、逆に受信することもできますし。よりダイレクトに繋がれている実感はあります。インターネット上ではありますが、皆さんの反応がわかりやすいですね。本当に距離も時間もすごく近くなったのと思います。


普段はどのようにしてファッションの情報を取り入れていますか。

もちろんファッションは好きなのですが、実はそこまで掘り下げるタイプではなかったりして。実際に街に出て観察して、情報を発信しているマガジンから勉強させてもらうこともありますけど、そこで得た情報+自分の感性とで融合している感じですかね。あとは、自分は東京に住んでいるので、東京から感じるエネルギーは大事にしたいなと思います。逆に海外に行って、日本のものを着ていると「それどこの?」っていうダイレクトな反応もありますし。そういうのは大切にしていきたいなと思いますし、地元のエッセンスを取り入れたファッションを少し意識しているかもしれませんね。

逆に海外に行かれた時に、ファッションが気になった街はありましたか?

そうですね、街もそうですけど、コミュニティによって全然変わってくるので、それぞれの業界の色はあると思いますが、僕は自分が関わる人たちの影響でなんとなく自分のスタイルが決まってくるのはあると思います。でもそこも流され過ぎずに自由に生きていけたらいいなと思います。

ファッションに対するこだわりを教えていただけますか。

楽なファッションが好きです。それは子供の頃から変わらないんですけど。動きやすさとか、ファッションによって活動が制限されるところまでは持っていきたくない。というのがあるので、割と冬場でもTシャツに何か羽織っているだけのことが多いんですけど。今も2枚です(笑)。着やすさと動きやすさと、あとインパクトももちろん大事です。靴はすごい履き心地は大事ですね。デザインと履き心地と。そういうところを大事にしています。

その他に、スニーカーを選ぶ際にこだわる点はありますか?ここだけは外せないとか。

限定にはやっぱり弱いです。限定と言われるとつい欲しくなっちゃったり。あとコラボものにも弱いですね。それとシグネチャー的なものですね。その3つは欲しくなる要因ではあるかなと。

その辺りは巷のスニーカーヘッズと一緒ですね(笑)。

そこは全く変わらないと思いますね(笑)。

ちなみにスニーカーは何足ぐらいお持ちでしょうか?

数えたことないですけど、靴の棚はパンパンですね。昔買ったものが捨てられなくて。日本の方もそうだと思いますけど、特に外国の方ってスニーカーに対する愛がすごいあるなと思ってて、ディスプレイしてる方もたくさんいますし。僕の中でもスニーカーの重要度は高いです。

ファッションを決める中でスニーカーありきなこともありますか?

いい靴の時はもちろんそれを軸にすることはありますね。

最近よく着用されている特定のアイテムやブランドがあれば教えてください。

時期的なものもありますし、自分がやらせていただいたのもあるのですが、Monclerがすごく多いですね。Monclerのダウンはオプションもたくさんあるので、機能的にもデザイン的にも自分に合ったもの選べるなとは思っています。

今注目されているデザイナー/ブランドはいらっしゃいますか?

ちょっとベタになっちゃうかもしれないですが、先日、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)のデザインしたLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の新しいスーツを着させていただく機会があって。色合いとか生地感とかやっぱりすごいなと。唯一無二感があって、すごいオリジナリティを感じました。

Onitsuka Tigerさんとのコラボでベースとなったモデル、RINKAN BOOTを選んだ理由を教えていただけますか。


シンプルな理由ですが、旅の途中でデザインのインスピレーションを得ることがありました。旅は歩きやすい道だけではなかったりするので、どこに行っても歩けて、かつファッション性もあって、これは軽いので、歩きやすくて、どこでも行けます。あとはユニセックスなので男女問わずというのもポイントでした。

最初にコラボレーションのお話があった際に、すぐこれにしよう!という感じだったのですか?

いやもう、いっぱいある中から迷いに迷って、最終的に行き着いたのがこのシューズでした。

では、全然違うモデルになっていた可能性もあるんですね。

ありましたありました。色々な選択肢があったので。

特にこだわった点を教えていただけますか。

皮はピッグスキンを使用したのですが、触り心地がすごい好きなのと、あとは長く履いて欲しいというのもあり。この皮ですと、色褪せた時でもそれが味になっていくというか。人生を旅に例えると、良い旅をしている方が良い心が育つというのもあるので、そういう意味でも良い素材を使わせてもらって。あとはここ(ヒール部)にラバーを付けさてもらって。オリジナルには付いてないんですけど。アウトソールにも今回のコンセプト“GFWD(ゴーフォワード)”をプリントさせてもらって。あと少しハイカットにしました。それとシューレースが3本あります。

シューレースを3本付けたのは何が意図があってですか?

単純にカスタムできる方が楽しいし、人によって好みもありますからね。あとはここはリフレクション素材を使って、光に反射するんですよ。

記者会見時に、履く人に“オリジナルの色をつけてほしい”とお話されていましたよね。スニーカーヘッズの中には綺麗なまま履きたいという人も多いですが、結構ガシガシ汚して履いてほしいですか?

いえいえ、そこも含めてオリジナルの色というか、僕はこのシューズは95点だと思っているので、そのプラスの5点から上は皆さんに付けてもらうところかなと思っています。彼を相棒にして色々なところへ連れて行ってほしいですね。

デザインするうえで、最も難しかったことは何ですか?

全てが未知の世界だったので(笑)。右も左もわからない状態で始めたのですが、Onitsuka Tigerのスタッフの方の情熱に支えてもらって、ここに辿り着くまでに、何十人という方の想いがたくさんあったりするので、僕1人では実現しなかったです。いつもは自分が商品として、例えばコンサートでも細かくステージを作っていきますが、そことの共通点としては、たくさんの人の想いが詰まっているところですかね。ファッション x 想いみたいなところが表現できたらいいなと思っています。

制作期間はどれぐらいですか?

初めて話をしたのが、半年前ぐらいだったですかね。すごい楽しかったです。今の僕じゃないとできなかったというか、タイミングもあって、去年の僕じゃできなかったですし、来年の僕でもできなくて、“今”という時間軸がここに詰まっていると思います。


Monclerのショートフィルム出演、Onitsuka Tigerとのコラボレーションと立て続いていますが、これからファッション分野での活動に力を入れていくのですか?

チャンスがあれば、もちろんやらせていただきたいと思います。これも出会いとか縁とかありますし、ただ自分が「やりたい!」と言って実現するものではないと思っていまして、ただそこへの想いはなくさずにやっていきたいと思います。

今後ファッション分野で一緒に仕事をしたいデザイナーやアーティストはいますか?

僕はファッションの素人ではあるので、逆にお声がけいただければ、挑戦していきたいとは思います。今回一緒にシューズを作らせてもらったOnitsuka Tigerさんとは単発ではなく、長くご一緒させてもらえたらと思います。

ピンポイントのお仕事ではなく、しっかりとしたバックグランドやストーリーがあってのことなのですね。

すごい恵まれているなと思うのですが、藤原さんだったり、デザインされている方と直接お話させていただく機会があると、ファッションは世に出るまでの期間がすごく長くて、そこに考え抜かれた情熱がこもっているから、ただビジュアルがかっこいいから着るのではなく、そこも含めてかっこいいなと思えるようになりました。そういう意味では想いを探るというか、そこも探求していけたらと思っています。

※『HHHYPE』英語版の原文記事はこちらから